二風谷アットゥ

二風谷の
森から生まれた
一反の布

 アットゥは、アイヌ文化で古くから作られてきた、樹皮の糸で織った反物(たんもの)のことです。なかでも、おもに平取町二風谷地区で継承されている伝統的な技法で作られたものを「二風谷アットゥ」と言います。オヒョウやシナの木の樹皮を剥いで、煮たり、水に漬けたりして柔らかくしたのち、その内皮(ないひ)を細く裂いて糸にします。それを、自分の体に固定して使う織り機で一枚の反物に織り上げます。二風谷には、自ら森へ入って原料を採取し糸をつくり、100年前と同じ様式の道具で織り上げるつくり手がおり、伝承者として尊敬されています。
 アットゥ織りは通気性に優れ、水に強くて丈夫なため、江戸時代の本州との重要な交易品でした。明治時代にも、沙流(さる)川流域のすぐれた産物として知られていました。現代では、和服の帯や、財布といった小物など、今の生活に取り入れやすいものが多く作られています。

製造工程

1. 樹皮を剝ぐ

幹に切れ目を入れて、下から上に剝ぐ。水分を多く含んだ梅雨明けが最適。立ち枯れの危険のために立木を倒して行うことも多い。

2. 荒皮を剥ぐ

糸にする内皮(靭皮)を取り出すために、外の荒皮をていねいに剝がしていく。

3. 樹皮を加工

樹皮をやわらかくするために、灰汁などを加えて窯で数時間煮る。沼や温泉などに一週間程度漬ける方法もある。

4. 洗う

ぬめりを取るために、沢などで洗って内皮をきれいにする。

5. 内皮を剥ぐ

何層にもなっている内皮を、揉むようにして薄く剥がしていく。

6. 内皮を裂き、糸をつくる

指先を使って内皮を一定の細さに裂き、その糸に撚りをかけながら、結び目を小さくする機結びで糸をつないでいく。

7. 糸のばし

糸玉から糸をのばし、数メートル離れた棒に回しかけ、もう一方を織り機に通していく。この段階でタテに入る色や柄が決まる。

8. 受け糸を取る(機織り)

綿糸で下糸を順番にすくい上げペカウンニ(糸をかける棒)に8の字のように掛けていく。

9. 横糸を通しペラで締める(機織り)

ペカウンニによって上下に分けた縦糸の間に横糸を通す。横糸を通す一回ごとに縦糸も上下させ、ペラ(へら)で締める。

完成した反物、およびそれらで作られた着物や帯などをアットゥという。糸は、生成りのままか、草木で染める。