二風谷イタ 二風谷アットゥ 刺繍 民具 祭具
二風谷イタとは

一枚に広がる
華麗な文様の世界

イタとは、アイヌ文化に伝わる浅く平たい形状の木製の盆で、それらの中でも平取町二風谷エリアが位置する沙流川(さるがわ)流域に伝わる「二風谷イタ」は伝統的工芸品に指定されています。

その歴史は古く、食べ物を盛るものとして生活の中で使われていたほか、幕末にはこの流域で作られた半月盆や丸盆が幕府への献上品だったことがわかっています。

明治時代に入ると、名工達がこの地域独自の文様を彫り込んだイタや小物を制作し販売を開始。その確かな技術は現代のつくり手へと継承されています。

素材は主にカツラやクルミを用い、モレウノカ、アイウノカ、シノカなどに代表されるアイヌ文様が配置されており、その隙間を埋めるようにラノカと呼ばれるウロコ彫りがデザインされているのが特徴です。

製造工程

1. 底取り

荒削りした板の内側を皮裁ち包丁で同じ深さに削って、彫る面を整える
内側の縁のラインも丸ノミで美しく仕上げる

2. 裏面仕上げ

裏面の角を面取りする
板の形取りが完成

3. 文様削り

文様をデザインし、ラインに沿って三角刀で線取りをする
次に丸ノミで彫り下げ、立体感と陰影を出す

4. 二重線彫り

文様のラインを更に加え、彫りの表情を豊かにする

5. ウロコ(ラノカ)の線入れ

モレウノカ(渦巻)やシノカ(目の形)の間を埋めるように、木目を縦方向にし、印刀で鱗文様となる枡目を引く
この鱗彫りを一つの作品に多用するのが、二風谷イタの特徴

6. ウロコ(ラノカ)の起こし

印刀の裏刃で鱗を一つずつ起こす
それにより枡目の半分が削られ、鱗の面積の大きさと独特の表情が現れる

7. 仕上げ

細部の調整をして完成